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【デイリーニュース】vol.11 短編②『multiple』『遠い光』『歩けない僕らは』 Q&A

女性3人の会話劇、木村知貴主演作、宇野愛海&落合モトキ出演の再生物語

(左から)歩けない僕らは』の落合モトキさん、宇野愛海さん、佐藤快磨監督、『遠い光』の小林麻子さん、星野樹里さん、木村知貴さん、宇津野達哉監督、『multiple』の辻村優子さん、國枝佐和子さん、永冶ミユキ監督

 

9作品で競われる国内コンペティション短編部門の「短編②」は、人生の岐路にスポットを当てた3作品が集められた。

3人の女性による会話劇『multiple』、木村知貴がマタギを演じた幻想的な作品『遠い光』、新人理学療法士(宇野愛海)と患者(落合モトキ)の再生物語『歩けない僕らは』の3作品の上映は満席立ち見となり、終映後、熱気あふれるQ&Aが行われた。

 

multiple』は都内でルームシェアをする地方出身の幼なじみ3人組が主人公。3人は酒を飲みながら、不発に終わった合コン、都合の良い時だけ連絡をしてくる男、元カレが幹事をする同窓会について、夜通し本音で語り合う。本作からは永冶ミユキ監督、出演の國枝佐和子、辻村優子が登壇した。

 

本作がデビュー作となる永冶監督はモデルとして雑誌・CMの分野で活躍し、第二子出産後、映画制作を本格的に開始した異色の経歴の持ち主だ。「多重な」「多様な」という意味を指す題名について「30歳を目前にした女性は職場、プライベート、カレの前などいろいろな顔を持っているので」といい、印象的なラストシーンには「ブラインドを開けて、光が射すところで物語を締めたかった」と話す。

 

(左から)『multiple』の辻村優子さん、國枝佐和子さん、永冶ミユキ監督

 

遠い光』は雪の降り積もる山間の村で、妻を事故で亡くし、幼い娘と母と暮らす男(木村知貴)を主人公にした物語。ある日、山に迷い込んだ娘の前に、死んだはずの妻が現れる、という幻想的な物語だ。こちらは宇津野達哉監督、主演の木村、妻役の小林麻子、子役の星野樹里が登壇。フランスで編集助手、カメラマン、助監督として活動し、帰国後は、映画、TV、CMなどの撮影部や演出部で活躍する宇津野監督は、「題材したのは猟に連れて行ってくれた亭主関白なおじ。おばがガンになってしまったのですが、亭主関白の男性の奥さんがいなくなったら、どうなるんだろう。そう思ったのが出発点です。この製作途中に、おばは亡くなってしまいましたが、おじはなんとかやっています。この作品になにか通じるものがありました」と話した。

 

(左から)遠い光』の小林麻子さん、星野樹里さん、木村知貴さん、宇津野達哉監督

 

『ガンバレとかうるせぇ』(14)が「PFFアワード2014」2冠に輝いた佐藤快磨監督による『歩けない僕らは』は、新人の理学療法士にスポットを当てた再生物語。佐藤監督、新米理学療法士役の宇野愛海、脳卒中で左半身が不随になった青年役の落合モトキが登壇した。

 

現役理学療法士の女性からは「描写がリアルで、心が痛くなった」という感想も。佐藤監督は「栃木にあるリハビリテーション病院に通わせていただき、セラピストの方にも監修していただきました。リハビリテーションは治療ではなく、障碍を改善させ、気持ちを変えていくことだとうかがい、なんて大変な仕事だと思いました。当初、僕が考えたラストは作為的だなと思い、変えることにしました。ヒロインがあの場所で戦っていくことを示唆できたら、と思っています」と話した。

 

(左から)歩けない僕らは』の落合モトキさん、宇野愛海さん、佐藤快磨監督

 

短編②」の次回上映は、7月19日 (金) 11時から映像ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。