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【デイリーニュース】Vol.03 縦型映画シアター「TikTok TOHO Film Festival受賞作品」栢木琢也プロデューサー トーク
スマホの枠を超えた縦型映画の魅力~「TikTok TOHO Film Festival」受賞作を縦6mスクリーンで上映
栢木琢也(東宝株式会社プロデューサー)
東宝株式会社とショートムービープラットフォーム「TikTok」が共催で開催する縦型映画祭「TikTok TOHO Film Festival」の受賞作品の上映が7月19日(土)13時40分から多目的ホールで行われた。同ホールでは、縦型映画の上映に合わせて縦6mにもなる縦型スクリーンを設置。スマートフォンでは得られない迫力の映像と音響で来場者を魅了した。上映後には東宝株式会社エンタメユニット開発チームの栢木琢也プロデューサーが登壇し、本上映で得た気づきやクリエイターに対する想いを語った。
今回上映されたのは、以下の5作品。いずれも10分未満の短編縦型映画であることは共通しているものの、アニメーション、ストップモーションアニメ、実写と多様な表現をもとに、縦型ならではの映像表現に切り込んだ作品となった。
『遊園人』(監督:一寸先はおじ、2024年グランプリ受賞)
『モブライフ』(監督:髙原春菜、2024年準グランプリ受賞)
『灯台守と迷子の幽霊』(監督:香取徹、2024年アニメ・CG賞受賞)
『絶滅メシ』(監督:細沼孝之、2024年特別賞受賞)
『反復横跳び少女』(監督:宮田和弥、2023年グランプリ・観客賞受賞)
栢木プロデューサーは開口一番、「初めて縦のスクリーンで見ました。2021年から映画祭(TikTok TOHO Film Festival)をやっており、審査に参加しているんですが、スマホで見る限りでは気づけなかったことや新しい発見があって楽しかったです」と、スクリーン上映に対する驚きを口にした。また、24年のグランプリ受賞作『遊園人』については、「今日ここで見て、音の演出にこだわっていたことが分かりました。審査のときには気づけなかった。改めてすごい作品だと思いました」と音響についても新たな発見があったという。
迫力の6m縦スクリーン
今回上映された5作品はすべてが受賞作品となる。作品選定の基準についてプロデユーサー目線での意見を求められると、「我々が意識しているのは、社会をどう切り取っているかという視点と、大衆向けのエンタメとして成立しているかという点です。エンタメになっているかというのは難しいことなんですが、10人見たときに8人が同じ感想を抱くかということだと思います。そういった意味では『遊園人』が際立っていた」と明かした。
縦型はもちろん、フォーマットにこだわらず様々なコンテンツに挑戦していきたいと語る栢木プロデユーサー。では、クリエイターには何を期待するのだろうか。
「世の中を斜めから切るタイプの人っているじゃないですか。そういう独自の視点を持つことはクリエイターとして大事で、僕らプロデユーサーにはない視点ですね。そして、それをベースにストーリーを作れる力。それを画だったり、音だったり、芝居だったりに落とし込んでいく力へとドリルダウンしていくんですが。その根幹となるストーリー、物語を紡げるかが大事です」
さらに、共に仕事をしたいと感じるクリエイター像についてこう締めくくった。
「言うは易しではあるんですが、何か新しいものを落とし込めるクリエイターと出会いたいですね。僕らが思いもつかない斬新なストーリー展開であったり、カット割りであったり。今回の5作品のなかでも、面白いカメラ演出やライティングの演出がありました。『絶滅メシ』では実際は地震を起こしてないのにカメラワークとライティングとSEで揺れてる感を出してましたよね。そういう新しいアイデアをどんどん使っていくクリエイターさんとお仕事したいと思っています」
なお、今回の受賞作品は「縦型映画一挙上映」として、7月20日(日)10時30分、7月21日(月・祝)10時30分および15時50分にも多目的ホールにて上映される予定だ。縦型映像の魅力を、大スクリーンでぜひ体感してみてほしい。
取材・構成・撮影:河西隆之