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【デイリーニュース】Vol.10 関連企画「カメラクレヨン~子どもたちは映像クリエイター!」舞台挨拶
ゲスト参加の佐津川愛美氏も唸らせるアイデア豊かな作品が完成!
ゲストを囲む「川口子ども映画クラブ」「CGアニメーション教室」参加者有志
関連企画「カメラクレヨン~子どもたちは映像クリエイター!~」は、川口市内の小学4年生以上の有志が5日間で企画から撮影・編集までを体験するクラブ「川口子ども映画クラブ」と「CGアニメーション教室」が制作した作品を上映する無料イベント。7月21日(月・祝)13時30分から、作品の上映と制作した子どもたちによるプレゼンテーション、登壇したゲストコメンテーターの俳優・佐津川愛美氏を交えての講評が行われた。
佐津川氏は、「映画の世界をもっと知ろう!」をコンセプトに、2025年から〈映画と仲間「filty」〉というプロジェクトを開始。子ども向けワークショップやトークイベントなど映画の仕事の楽しさを伝える活動を行っている。
CGアニメーション教室の180作品一挙上映
まずCGアニメーション教室で制作した180作品を一挙上映。続いて川口子ども映画クラブが制作した『私からの手紙』と『コンシデレーション』の2作品が上映された。
CGアニメーション教室は、1年から3年生のクラス、4年から6年生までのクラスに分かれて18教室が開催された。低学年の初々しい作品から、アートのような高学年の作品まで、教室ごとに上映されたが、いずれも1秒間のために6枚ずつ描いた絵を取り込み、アニメーション作品に仕上げている。
作ってから一年ほど時間が経っている教室もあり、制作当時のことを忘れかけている子もいたが、自分の作品を大きなスクリーンで見ることや、1秒に6枚の絵が動くスピード感に驚く声が多数。子どもたちからの「今度はこうしたい」と反省点を語る声や、「一度作ってみたので満足した」という率直な声が聞かれ、客席からは感嘆や笑い声があがった。
CGアニメーション教室Aチーム(左上)、Bチーム(右上)、Cチーム(左下)、Dチーム(右下)
佐津川さんは、「アニメーション作品は、たぶん物語から作画まで一人で作られたのではないかと思います。色使いやスタイルに作った方の個性が出ていると思いました。描かれた絵が繋がって動き始めると、今度はストーリーが見えてくる。そこが立体的でとてもおもしろいと思いました」と講評を寄せた。
川口子ども映画クラブの意欲作2本
次に川口子ども映画クラブの2作品の上映。最初は、未来の自分から予言のような手紙を受け取る『私からの手紙』を作った4名が登壇した。制作してみての感想は、「(俳優として参加し)自分の声ってこんな声なのかとびっくりした」、「(音声として参加し)マイクが重くて画面に入ってしまった」、「(俳優として参加し)ミステリアスな感じを出すのに苦労した」、「(カメラマンとして参加し)思ったよりもよく撮れていたと思うけど、小道具の手紙の字が下手だったので家で練習しようと思った」など。
『私からの手紙』を作った4名
佐津川さんは、「主人公が出てきた瞬間、みんな笑顔になったんじゃないかと思います。作品において主人公が魅力的なのはとても大事なこと。脚本によるのか、演じている俳優の人間性によるのか、いろいろだと思いますが、それをちゃんとチョイスできているのも素晴らしいと思いました。カメラワークもとても分かりやすく、手紙もちゃんと読みやすく工夫されていて、みんなで協力して作られた作品であるのが感じられ、とても良かったと思います」と講評。
続いて、片思いする男の子と女の子の、心の入れ替わりもの『コンシデレーション』。6名が登壇し、「(音声として参加し)画面に入らないギリギリのラインで腕を伸ばしながら耐えた」、「(俳優として参加し役作りで)いつもより声を高く出した」、「(俳優として参加し)もっとにこにこできれば良かった」、「(制作進行として参加し)表に出る仕事も大変だけど、支える仕事も意義があるなと思った」、「(俳優として参加し)ふだんあまり感情を出さないタイプなので、表情を作ったりするのが俳優さんって大変だなと思った」、「(スクリプターとして参加し)間違って記録してはいけないので、一瞬たりとも油断しないように集中しました」と感想を語った。
『コンシデレーション』を作った6名
講評に入る前、「俳優さんって大変」だという感想に対し、こんなことを教えてくれた佐津川さん。
「台詞を覚えるのは、訓練しているうちにできるようになるので、正直そんなに大変ではありません。難しいのは感情表現の部分。分かるように出すのか、出さないのか、どれぐらい出すのか。表情も笑っているように見えるけれど、心の中では笑っていないとか、そういう複雑な部分を出すのが一番難しいですね」
その上で、「主人公たちの距離感をカメラでどう切り取るか。それで作品全体が変わってくるので、近すぎず、遠すぎず、2人の関係性がちゃんと見えるように撮れていたことに感心しました。入れ替わりを台詞だけでなく、文字を入れたり、編集や映像表現として見せたのも工夫されていて良かったです」。
佐津川愛美(俳優/カメラクレヨン講師)
スクリプターとは、撮影されたショットで起きたすべてを記録し、編集に入る前の土台を作るスタッフのこと。「スクリプターさんがいると聞いて、すごいと思いました。俳優は前のシーンで左手を上げていたのか、右手を上げていたのか忘れてしまいますので、全部チェックしてくれているスクリプターさんがいるのは本当に心強い」と佐津川さん。予算の関係でこのスクリプターがいない撮影現場もある昨今、映画制作のスタンダードな役割を知っているのは大切なことなのだ。
取材・構成・撮影:関口裕子