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【デイリーニュース】Vol.15『ひみつきちのつくりかた』板橋知也監督、
恵水流生プロデューサー、木寺響 Q&A

「絶対、長編でやりたい」――開墾から始まった「ひみつきち」作り

ひみつきちのつくりかた』(左から)板橋知也監督、恵水流生プロデューサー、木寺響

 

コンペティション部門の『ひみつきちのつくりかた』が22日(火)、映像ホールで上映され、板橋知也監督、恵水流生プロデューサー、出演の木寺響がQ&Aに出席した。

 

急逝した友人の葬儀で再会した小中学校の同級生4人が、遺品の中にあったノートを基に当時夢見ていた「ひみつきち」を作ろうと一念発起。童心に帰った大人たちの計画は順調に進むかに見えたが、それぞれが抱える事情や葛藤、子どもの頃に感じていた思いが噴出していくことによって、思わぬ方向へ進んでいく。

 

板橋監督は脚本、撮影、編集なども兼務。「最初は記録として撮ろうと考えていたけれど、それでは面白くなさそう。映画にしたら面白そうだと思ってプロットを書き始めた」という。その後、コロナ禍や世の中をにぎわせた暗いニュース、自身にも不幸が降りかかったこともあったが、「鬱々としていたけれど、楽しい作品を作りたいと筆を走らせていたら、今の自分に必要な作品ができてきた」と手応えをつかんだ。

 

脚本を仕上げたところで、旧知の恵水氏に相談。その恵水氏は、「8年以上の付き合いで、才能があると思っていた。その彼が初めて頭を下げて『絶対、長編でやりたい』と言ってきたので、企画を読む前からやろうと思った」と快諾した。

 

「単純に郷土愛」で、板橋監督の地元である東京・あきる野市を舞台に設定。ひみつきちを造る場所はなんとか見つけたが、「地面がガタガタで整地から始めなければならなかった。録音の鈴木貴之くんが友人で造園業もやっていて器具を持っているので、2人で休日に行って草刈り、開墾していきました」と苦笑交じりに振り返った。

 

4人の大人たちを演じるのは廣末哲万、藤田健彦、佐藤貢三、もりたかおの芸達者ぞろい。板橋監督は、「僕の理想と違う演者の方にも来ていただいたけれど、僕が書いている人物より魅力的だった。この方たちの魅力を引き出せば映画が良くなると思い、現場で動きやセリフを変えたこともありました。役者にベットしている映画です」と言葉に力を込めた。

 

廣末の娘役を演じた木寺は映画初出演。この日は観客と一緒に観賞し、「笑い声が聞こえてきたり、自分が笑える部分もありました。この作品に携われて本当にうれしい」と初々しい笑顔を見せた。

 

会場には廣末、藤田、もりらも姿を見せ、久しぶりの再会を喜んだ。板橋監督は、「(SKIPシティで)上映されただけで作ったかいがある。スタッフ、キャスト、そしてお客さんに見ていただいて感謝です」と喜びをかみしめていた。
主演の廣末万哲(前列左端)らも駆けつけた

 

ひみつきちのつくりかた』は、8月1日(金)からシモキタ – エキマエ – シネマ『K2』での劇場公開も決まった。

取材・構成・撮影:鈴木元


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