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【デイリーニュース】Vol.17『お笑えない芸人』西田祐香監督、吉野真生、村山暁、北野七海 Q&A
自己肯定感が低い芸人が生み出した理想の自分とのし烈な戦いの行方は?
『お笑えない芸人』左から西田祐香監督、吉野真生、村山暁、北野七海
『お笑えない芸人』は、西田祐香監督の京都芸術大学の卒業制作作品。今春に卒業し一般企業に就職したが、23日、映像ホールで上映され、「ノミネートの連絡を受けた時はうれしくてうれしくて、新卒でストレスも重なっていた中で一筋の光が見えた感じがしました。卒制で終わるはずだったのものが、大きなスクリーンで上映されることもうれしい」と喜びをかみしめた。
芸人を目指す佐原だが、オーディションに落ち続ける日々を繰り返し、相方の瀬戸口との些細なトラブルからコンビは解散。失意のどん底にいる中で、自分が理想の芸人とする“分身”サハラを生み出してしまう。成功のノウハウを教示されるなど“2人”は良好な関係を築くが、徐々にサハラの存在が本人を陵駕していくという物語だ。
西田監督は「私を含め自己肯定感の低い人が多いなと感じていたので、自己肯定に関する映画を作りたいと思った」と、大学3年時に脚本を執筆。同級生や友人らに声をかけてスタッフを集め、同じ制作コースの吉野真生、村山暁らに出演を依頼。キャスト、スタッフの意見も取り入れて脚本を手直しし、撮影に臨んだ。
吉野は“俳優デビュー作”でいきなり佐原とサハラの一人二役に挑んだが、「とにかくかけがえのない時間で、大変だったけれどめちゃくちゃ楽しい日々でした。(2人が一緒のシーンでは)スタンドインの人と、汗だくになった服を交換しながらやっていました」と冗談めかす。瀬戸口役と助監督を兼務した村山は、「中々ハードで、監督がほんわかした雰囲気なので緊張感を持たせるためにいろいろ言ったこともあった」と懐かしんだ。
漫才ネタに関する質問には、村山が「10組近くのネタをコピーして、その都度皆に見てもらって意見をもらっていた。だんだん自分たちでネタをつくるようにもなった」と説明。すると吉野が「2人でM-1に出まして、見事に1回戦敗退でした。再生数が伸びていない漫才が作品のSNSに上がっています」とアピールした。
吉野、村山に加え、佐原の隣人役を演じた俳優コースの北野七海はSNSでの広報活動にも従事。北野を紹介する動画は、「240万回再生いきました」と照れながら自ら明かした。
キャストの3人は卒業後、俳優として本格的に活動を開始。西田監督も現在の肩書は「会社員」だが、「脚本家になるのが夢なんです。台詞を書くことが好きなので、映画は作り続けていきたい」と夢をはせた。
取材・構成・撮影:鈴木元