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【デイリーニュース】vol.17 特集上映「What’s New~飛翔する監督たち~」『断捨離パラダイス』萱野孝幸監督、篠田諒、北山雅康、中村祐美子プロデューサー Q&A

昨年優秀作品賞と観客賞をW受賞した新鋭監督! 最新作は群像コメディ“ごみ映画”

左から中村祐美子プロデューサー、萱野孝幸監督、篠田諒、北山雅康『断捨離パラダイス

 

特集上映「What’s New~飛翔する監督たち~」の『断捨離パラダイス』は、ごみ屋敷を舞台に繰り広げられる人情喜劇。メガホンを取ったのは昨年、『夜を越える旅』で国内コンペティション長編部門優秀作品賞と観客賞をW受賞し、さらには東京国際映画祭でも上映された新鋭・萱野孝幸監督。来年6月の劇場公開に先駆けてのワールド・プレミアとなる。

 

ピアニストの律稀(篠田諒)は原因不明の手の震えによりキャリアを断たれ、ごみ屋敷専門の清掃業者「断捨離パラダイス」で働くことを決意。彼は、想像を絶する世界を目撃していく……。

 

清掃業者とごみ屋敷の住人の悲喜こもごもを6編のエピソードでつづり、伊丹十三作品を思わせる上質なエンタメに仕上げた。『サマーフィルムにのって』(20)の篠田諒が主演し、『夜を越える旅』でヒロインを務めた中村祐美子が出演&映画初プロデュース。ベテランの北山雅康や泉谷しげるが脇を固める。

 

萱野監督は「前作でご一緒した中村さんとの雑談の中で、『ごみ屋敷をテーマにした映画って、見たことないよね』と話をしたのがきっかけです。我々は生きていく限り、絶対にゴミを出すもの。ゴミによって、どういう人間であるかもなんとなくわかる。ゴミを扱った映画は斬新で、結構ドラマとしても強いんじゃないかと思いました」と経緯を明かす。

 

初プロデュースに挑戦した中村は「『夜を越える旅』はものすごく大変で、ものすごく楽しかったので、このチームでもう1回映画を作りたいと思いました。萱野監督には、『私みたいな映画偏差値が低い人にも楽しめる作品にして』とお願いしました。オムニバスはレベルが高いと思っていましたが、伏線回収もメチャメチャしてくれて、さすがと思いました」とその才能を絶賛する。

 

本映画祭で国内コンペティション長編部門優秀作品賞・観客賞をW受賞した片山慎三監督の『岬の兄妹』(18)にも出演した北山は少々変わり者の清掃会社社長を好演。「私はデビューが山田洋次監督。巨匠の現場で育ちましたが、萱野監督や片山監督といった若い監督さんとの仕事はすごく刺激があります。山田組の場合は山田さんが思い描くものに自分を寄せていく感じですが、若い監督とやる時は私が持っているものを提案ができる。でもやはり萱野監督も山田監督と似たようなところがありましたね。若い監督でこんなにテイクを重ねられる人はいないんじゃないかなぁ」と笑いを交えて舞台裏を明かした。

 

撮影は監督の地元である福岡・博多周辺でロケ。劇中では、大量のゴミが登場するが、中には東京から空輸したモノも。ゴミ自体はきれいに洗ってあって、無臭だったが、埃に見立てて用意したベビーパウダーやきな粉にむせ返ることも。主演の篠田は「いろいろなものを混ぜているので、化学反応みたいなものが起きて、一日中くしゃみが止まらなかったのが一番きつかった」と振り返った。

 

ワールド・プレミアは観客席から笑いも起こって、好反応。萱野監督は「反応がなかったら、どうしようかと思って、ちょっとドキドキしていましたが、本当にありがたい時間でした」と語り、10月21日に劇場公開を迎える『夜を越える旅』のPRにも余念がなかった。

 


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