2013 総括

 

今年10回目を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013。世界各国からの新作映画と、日本のデジタルシネマを担っていく新進気鋭の映像クリエイターの作品を数多く上映し、映画祭関連イベントも多数行われました。

 

記念すべき10回目のオープニングを飾ったのは、2007年、『星屑夜曲』で本映画祭短編部門・奨励賞、川口市民賞を受賞、『此の岸のこと』が、モナコ国際映画祭2011で五冠を達成するなど、海外でも高い評価を得ている若手の気鋭・外山文治監督の長編初監督作品『燦燦-さんさん-』。本作は、彩の国ビジュアルプラザ若手映像クリエイター支援プログラムD-MAP第4弾作品として製作された2013年秋公開作品。高齢者の婚活を描いたハートフルな作品で、2013年秋劇場公開の新作をどこよりも早く上映し、監督をはじめ、主演の吉行和子さん、宝田明さんの舞台挨拶もあり、会場は満員のお客様に埋め尽くされ、華やかに初日の幕を切りました。

 

コンペティション部門では、世界80の国と地域から長編502本、短編159本の計661本の応募があり、合せて24作品が上映されました。長編・短編部門ともに、青春をテーマにした作品、コメディー、サスペンス、社会派ドラマと多岐に渡る秀逸な作品が揃いました。なかでも珍しいパラグアイ映画『セブン・ボックス』では、国内在住のパラグアイの方々も多く詰めかけ、立ち見も出る大盛況ぶりでした。

 

長編部門では、スペインのミゲル・アンヘル・ヒメネス監督による、ロシアとカザフスタンを舞台に、鋭く美しい映像で描かれる過酷な人間ドラマで、スペイン、グルジア、ロシア、フランス合作作品『チャイカ』が見事、最優秀作品賞に輝きました。また、審査員特別賞を受賞した坂下雄一郎監督の『神奈川芸術大学映像学科研究室』は、若手映像クリエイター育成のための劇場上映支援事業「SKIPシティDシネマプロジェクト」第4弾作品にも選出され、2014年1月25日からの劇場公開が決定しました。短編部門の最優秀作品賞には、4年前に長編部門にノミネートされた金井純一監督の『転校生』が受賞しました。

 

 

 

 

10周年特別企画も多く開催されました。
『ロッテルダム国際映画祭特集上映』では、若手映像クリエイターの登竜門の先駆けロッテルダム映画祭で話題を集めた3作品を日本初上映とトークセッション、『過去ノミネート監督新作上映』では、過去の本映画祭でノミネートされ、今では世界にその活躍の場を広げている監督たち3人の新作上映がされました。また、『傑作短編WEB投票「あなたが選ぶベスト3」上映』では、本映画祭2010年から2012年の受賞作品をベースに厳選された短編9作品から、映画祭公式サイトで人気投票を実施し、その中から支持の多かった上位3作品の授賞式と上映が行われました。

 

その他の上映として、毎年好評いただいているシネマ歌舞伎や迫力あるオペラの舞台を堪能できるLivespire、屋外イベントと連動した作品上映、目や耳が不自由な方も一緒に映画を楽しむことができる字幕・音声ガイド付きのバリアフリー上映では埼玉を舞台にした戦国エンターテインメント超大作『のぼうの城』のほか、子どもも大人も楽しめる野外上映など盛りだくさんでお贈りしました。

 

また、様々な可能性を探る映像関連イベントも開催されました。SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザと松竹株式会社の協業により、SKIPシティを中心に活動する若手映像クリエイター4人で制作した新作映画『埼玉家族』が上映・ゲストによる舞台挨拶も開催されました。コバトンTHEムービーの新作短編2作品の上映と子どもたちの映像制作を応援するプログラム『カメラクレヨン』など、例年以上の多彩なプログラムで2013を締めくり、2014年の新たなステージに向け、大盛況のうちに幕を閉じました。


※掲載の肩書きは当時のものです。


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