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【デイリーニュース】vol.06「短編①」『しかし、それは起きた。』『似ている』『ウィーアーデッド』『こねこ』 Q&A

短編だからチャレンジできるこだわりを込めて

左から『短編①』の『こねこ』山口あいり監督、『ウィーアーデッド』野呂悠輔監督、『似ている』木村輝一郎監督、『しかし、それは起きた。』吹田祐一監督

 

国内コンペティション短編部門は、160本の応募作の中から選ばれた8作品を4本ずつ上映。『短編①』では、『しかし、それは起きた。』、『似ている』、『ウィーアーデッド』、『こねこ』の4作品が上映され、上映後に行われたQ&Aには各作品の監督が登壇し、それぞれの作品についてのこだわりを語った。

 

しかし、それは起きた。』は、1人の女性教師の日常動作を細やかに描きながら、彼女の抱える3つの問題――引きこもりの娘、自殺した生徒、その生徒がいた担任クラス――を浮かび上がらせていく緊迫感あふれるドラマ。

 

吹田祐一監督は、「芝居の善し悪しというものがまだよく分かっていないので、芝居を引き出すというよりも俳優さんが一番それらしく見えるところにカメラを置くなど、映像で空気を作っていく努力をしました。1シーンを除いて、人物が向かい合う引きのショットなしで、1ショットずつカットバックで切り返していくように作っています。どこで何が起きているのか説明するなら引きの画は必要だと思うんですが、人物さえ映っていれば引きの画がなくても、何となくわかるんじゃないかと感じたので。その分、リアクションや喋っていない俳優さんの表情をしっかり捉えることができたのは、自分にとっての驚きであり、収穫でもありました」。

 

似ている』は、世界的な広告賞を受賞したデザイナーの作品と、彼の旧友であるアーティストの作品が酷似していたことから巻き起こる、サスペンスフルなダーク・コメディ。自らも企業広告などの映像作品を手掛ける木村輝一郎監督は、コロナ禍に本作の企画をスタートさせたという。

 

「仕事で作っている広告映像は、見つめる方向が映画とは逆。だから映画とは向き合わないようにしてきたのですが、ちょうどコロナで3カ月くらい仕事がぱったり止まってしまった。これは『やるしかない』と言われている気がして、本腰を入れて脚本を書き始めました。私はブランクがあって、映画を撮るのは本当に久しぶりなので、まずきちんと分かるように映画を撮ることを優先させました。奇をてらったり、他と違うことをするのは極力避け、至って普通に撮りました。せっかくまた映画を作り始めたので、間髪を入れず次も作りたいと思います」

 

ウィーアーデッド』は、売れない芸人レイジと、彼と同棲するナナセの「このまま付き合っていていいのか?」というお互いのモヤモヤした思いを、リアルな会話で描き出すドラマ。(ネタバレあり)ラスト、2人の心の中が字幕で表されるシーンについては、Q&Aでも観客から質問や感想が集中。その演出について野呂悠輔監督はこう話す。

 

「過去の映画でも、『ラストはあまり語らせない方がいい』と言われたことがあります。そういうことに少し反発を覚え、あえて最後に全部語らせてみました。僕としては、余計なことをいろいろ考えたとしても、結局、言葉が出ない、いわゆる思考停止。そんなテーマにつながったかなと思います。手法自体は新しいものではなく、『アニー・ホール』(78)でウディ・アレンもやっている方法ですが、さすがに最後に全部字幕を使った映画はないんじゃないかと賭けてみました。ちょっとした違和感にこだわったというか」

 

こねこ』は、友だちを作るために学校で大好きな読書をすることをやめた高校生りんと、彼女と同じ図書委員になった玲、そして図書館司書らとの触れ合いを繊細に描く瑞々しい青春映画。現在、大学4年生で、是枝裕和監督、篠崎誠監督、映画研究者の土田環らの指導学生でもある山口あいり監督。将来はドキュメンタリーを作りたいという本作のこだわりについてこう語った。

 

「先生方からアドバイスいただいたのは、台詞をしゃべるときには何かをしながら、ということでした。図書館でこねこの折り紙を折るシーンもそうですが、座って一対一で話をしていたら、あれだけ長いシーンは持たなかったと思います。台詞だけに集中ないように、何かをしながらという演出は意識しました」

 

短編①』の次回上映は7月22日(金)14時20分から映像ホールで行われ、ゲストによるQ&Aも予定されている。オンライン配信は7月21日(木)10時から7月27日(水)23時まで。
 


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