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ザ・ペンシル/The Pencil ◊ ジャパン・プレミア◊

<2019年 / ロシア / 93分>

暴力の恐怖に抗う武器として、彼女は生徒たちに鉛筆を与えた。
屈強な女性の生き様を描く人間ドラマ。

政治犯として服役する夫を追って、サンクトペテルブルクからロシア北部の片田舎にやってきたアントニーナは、地元の学校でアート教師の仕事を得る。その学校で、村一番の凶漢を兄に持つミーシャを恐れる生徒たちにアートの素晴らしさを伝えようと奮闘するアントニーナは、一人の少年が特別な絵画の才能を持っていることに気づく。

ザ・ペンシル/The Pencil

©Salt Studio, ©Fortissimo Films

監督:ナタリア・ナザロワ
出演:ナデジダ・ゴレロワ、ウラジミール・ミシュコフ

 

困難な状況を脱する手段として描かれる「芸術」の力と、決して圧力に屈しないアントニーナの姿。これらには監督、脚本を務めたナタリア・ナザロワ自身の信念が反映されているのだろうか。彼女はまず女優としてキャリアをスタートさせ、その後脚本家として、『LETO-レト-』(18)で知られるキリル・セレブレニコフの『Betrayal』(12)など数多くの映画やTVシリーズを手掛けている。長編監督デビュー作『The Daughter』(12)は、第28回ワルシャワ映画祭、第16回タリン・ブラックナイツ映画祭の両映画祭で国際批評家連盟賞を受賞する快挙を成し遂げ、一躍ロシア期待の女性監督となった。一方キャストでは、主人公アントニーナを演じるナデジダ・ゴレロワが、監督が当て書きをしたという役をまさに全身全霊で演じている。また、絵画の才能のあるディマやクラスの恐怖の元凶ミーシャを演じたのはアマチュアの少年たちだが、彼らもリアリティある演技を披露している。

ザ・ペンシル/The Pencil
ザ・ペンシル/The Pencil

監督:ナタリア・ナザロワ

監督:ナタリア・ナザロワ

様々な賞に輝く脚本家・映画監督のナタリア・ナザロワは多数のTVシリーズの台本を手掛け、『Mermaid』(07)、『Betrayal』(12)をはじめ、現代ロシア映画の監督たちの成功作の脚本を務める。初長編作の『The Daughter』(12)はタリン・ブラックナイツ映画祭そしてワルシャワ映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、オープン・ロシア映画祭でも最優秀デビュー賞を受賞。さらにオンフルール、コットブス、ヨーテボリ、パームスプリングス、サンフランシスコ、ブリュッセルなど多くの映画祭に選出された。

メッセージ

教師という存在は人々の人生において重要だと思います。良い折に適切な人と出会えば人生も変わり、人格形成に影響を与え、そして新しい道も開きます。しかし、その教師たちは自分の仕事の成果をなかなか目にすることはありません。そういう目に見えない教師の仕事についてのドラマを念頭に、この作品の脚本を書き始めました。私自身、演技を教えているからこそ、内側からこの職業の喜びと苦悩がよく分かります。鉛筆(ペンシル)は実際に劇中に登場しますが、象徴でもあります。村人の人生は、ベルトコンベアに乗せられたペンシルとそっくりだと思うのです。


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