国際コンペティション

バーヌ
Banu

上映日時
7/18(火)13:50 映像ホール
7/22(土)11:00 多目的ホール
配信日時
7/22(土)10:00 ~ 7/26(水)23:00
争乱の中、ひとり息子の親権を求め闘う母。
アゼルバイジャン発のエネルギッシュなヒューマンドラマ。

第二次ナゴルノ・カラバフ紛争末期の混乱の中、社会的権力を持つ夫に息子を連れ去られたバーヌは、親権を求め闘い始める。皆が夫の報復を怖れ証言を拒む中、彼女を援護する証言を探す猶予は4日間しかなかった。

©Katayoon Shahabi

監督:ターミナ・ラファエラ
出演:ターミナ・ラファエラ、メレク・アッバスザデ、カビラ・ハシミリ、ジャファル・ハサン、エミン・アスガロフ

2022年 / アゼルバイジャン、イタリア、フランス、イラン / 90分

 

権力を使って強引に息子を奪った夫から我が子を取り戻すため、夫のハラスメントを証言してくれる協力者を探す母。この物語に、第二次ナゴルノ・カラバフ紛争で実際に多くの母が息子を亡くしているアゼルバイジャンの現状が重なることで、非常に強度のある作品に仕上がっている。本作は、ヴェネツィア・ビエンナーレが毎年募集している、日本でも2015年に長谷井宏紀監督が『ブランカとギター弾き』で参加した「ビエンナーレ・カレッジ・シネマ」の企画に採択され、昨年のヴェネツィア国際映画祭でワールド・プレミアされた。主人公バーヌから溢れ出る息子に対する母の愛情を、時に激しく時に繊細に演じたターミナ・ラファエラが、本作では自ら脚本も書き長編監督デビューを果たしている。また、スピード感のある編集は、イランのジャファル・パナヒ監督やハナ・マフマルバフ監督の作品なども担当する、マスタネー・モハジェルが務めている点も特筆に値する。


監督:ターミナ・ラファエラ

監督:ターミナ・ラファエラ

アゼルバイジャンの映画監督、俳優。2015年、アゼルバイジャン文化観光省の助成を受けて製作された長編映画『Inner City』の脚本を担当。同作は複数の国際映画祭で上映され、賞を獲得した。脚本、製作、出演も兼ねた初監督作『A Woman』(20)はパームスプリングス国際短編映画祭でプレミア上映された後、ベンド映画祭の最優秀短編賞など数々の映画祭で賞に輝いた。本作の脚本は、ビエンナーレ・カレッジ・シネマにてビエンナーレが製作する4作品の1本に選ばれた。2022年のヴェネツィア映画祭でワールド・プレミア上映された本作が長編初監督作である。

メッセージ

今こそ、社会を鏡のように映し出し、私たちが自分たちや未来の世代に破滅をもたらしている行為を描くアートを作る必要があります。世界的なパンデミックの只中にあっても、私たちは国家間の戦争や敵対関係を目の当たりにしています。その根底にあるのは、戦争や憎しみを駆り立てるナショナリズムであり、家父長主義によって生み出され、導かれる思想です。その終わらない悪循環を止めるために、私たちはできる限りのことをしなければなりません。


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