国際コンペティション

この苗が育つ頃に
When the Seedlings Grow|Gava Şitil Mezin Dibin

上映日時
7/18(火)10:30 映像ホール
7/22(土)17:30 多目的ホール
配信日時
7/22(土)10:00 ~ 7/26(水)23:00
Asian Premiere
紛争の爪痕残るシリアの村に暮らす父娘。
穏やかな日常と苛酷な歴史の対比が胸を打つ。

シリアの村に住むヨーグルト売りの父フセインは、娘ゼラルをバイクに乗せて、叔父のもとに配達に向かう。コバニの街で迷子の少年ハムデと出会った二人は、ハムデと共に、傷む前にヨーグルトを売り切ろうと奔走する。

監督:レーゲル・アサド・カヤ
出演:シバ・ミヘメド・エリ、ムスタファ・ミヘメド・エリ、アハマド・アリフ・ヘサノ

2022年 / シリア / 83分

 

イランの名匠アッバス・キアロスタミの初期の作品を思わせる、バイクでヨーグルトを売りに街に出た父娘が村にある家に戻ってくるまでの、市井の人々の何気ない日常の一日を丁寧に描いた作品。映画にも登場する、タイトルに示された木の苗が象徴するように、全編を通じて平和な未来へ向けた願いが込められている。トルコ出身のレーゲル・アサド・カヤ監督は、シリアに移り、撮影監督や編集、俳優としても映画制作に携わった。予算には厳しい制限がある中で、シリア北部のロジャヴァ地域の映画制作者たちのコラボレーションとして本作は完成したと監督自身が語っている。また、俳優たちは演技未経験のアマチュアだが、彼らの自然な表情、そしてそれを引き出したカヤ監督の確かな演出こそが、本作の最大の見どころであると言っても過言ではないだろう。なお、ゼラルとハムデを演じた二人は実際の兄妹で、2016年にアレッポの戦いで父を亡くしている。


監督:レーゲル・アサド・カヤ(Rêger AZAD KAYA)

監督:レーゲル・アサド・カヤ(Rêger AZAD KAYA)

1992年、トルコ・アール生まれ。アンタルヤ・アクデニズ大学で映画を学んだ後、2014年のTVドキュメンタリー撮影から映画制作の道に入る。2017年の映画『Ji bo Azadiyê』に出演、メイキング映像の撮影も担当した。その後、撮影監督や編集者として多くの短編映画に携わり、『Kobanê』(22)ではキャスティング・ディレクター兼俳優として関わった。2022年、脚本も手掛けた初監督作品である本作を完成させた。

メッセージ

人生とは偶然の積み重ねでしょうか?社会学的な現実に基づく日常生活の偶然の積み重ねによって、私たち自身は形成されています。そこに、最も根本的で単純な生存の闘いが加わると、毎日は労苦と未来への希望で紡がれていきます。果てしない戦争の渦中にある中東の人々の物語。生き残るための闘いと、生活を再建するための努力は、日々の教義とともに在るための努力として続く。そして、本作では、コバニの街で、ごく普通の日の偶然の旅が繰り広げられます。本作を通して、戦争社会における一日の終わりにある偶然の意味を探ってみたかったのです。


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